PCネットワークサポートブログ
2025.08.13
事務所のWi-Fiにつなぐとインターネットが使えない!? 意外すぎる原因と解決法
先日、仕事で飛行機に乗って仙台へ行ってきました。
もともと1泊して観光もして帰る予定だったのですが、その宿泊日にちょうど台風が直撃するかもという予報。
「これは帰れなくなるかも…」とニュースと天気予報を交互にチェックしながら過ごす落ち着かない一日でした。
幸い翌日のフライトは無事に飛び、なんとか予定通り帰ってこられましたが、少しスリリングな出張になりました。
この時期の旅行や出張は心臓に悪いですね…。
さて本題です。
「事務所に戻ってWi-Fiにつないだ途端、インターネットが動かなくなる…」
そんな経験はありませんか?外出先では快適なのに、自分のデスクではネット難民になる――これは本当にストレスですよね。
先日、実際にお客様からご相談を受け、何度も現場へ足を運び、Wi-Fi機器の交換まで試したにも関わらず原因が分からず…。
しかし最後に、お客様の“いつもの操作”を実際に見せてもらった瞬間、すべての謎が解けました。
ある日、お客様からこんなご連絡がありました。
「事務所に帰ってWi-Fiにつなぐと、インターネットが使えなくなっちゃうんです…」
外出先では問題なし。事務所に戻ると突然ネットが沈黙。
原因調査は迷宮入り
最初は単純に「Wi-Fiの不具合かな?」と考えました。
そこで何度も現場を訪問し、次のような対応をしました。
・別のWi-Fiアクセスポイントを設置してみる
・他の端末で接続して再現するか確認(→問題なし)
・自分のノートPCでも検証(→やはり問題なし)
・セキュリティ上の制限を疑い、セキュリティ機器のファイアウォールのログを参照(→怪しい記録なし)
気づけば訪問回数は数回。正直、「これは長期戦かもしれない…」と覚悟し始めていました。
そして決定的瞬間は突然にやってきました。
「もう一度、実際の接続手順を見せていただけますか?」
そうお願いして、お客様の操作を横で観察しました。
Wi-Fiに接続した直後――
お客様は、外出先で使っていたのと同じ習慣で、VPN接続ボタンをポチッ。(たまに接続しっぱなしの場合も)
その瞬間、ネットが停止。
…原因、発見。
原因は…まさかの“二重帰宅”
VPN(Virtual Private Network)は、遠隔地から事務所ネットワークに安全接続できる便利な仕組みです。
しかし事務所にいながらVPNを起動すると…
・物理的には事務所にいる(住所1)
・仮想的にも事務所に戻ってくる(住所2)
結果、事務所内に二人の自分が同時に存在する状態になり、通信が混乱。
これが、インターネットが使えなくなる原因でした。
なぜこんなことが起きるのか?
インターネット通信を行う場合、送信元と送信先をパソコンの住所として設定する必要があります。
その住所が2つあるような状態になると、だいたいの場合初めに取っていた住所が優先されます。
つまり今回の場合は、ネットワーク上の住所を参照して通信を行っていて、現在の通信には2つ目の住所を使っていたが住所の重複が発生し、1つ目の住所が優先されたため2つ目の住所が使えなくなったということです。
この状況をもっと日常の風景でたとえると――これは、扇風機の真正面に立って涼んでいる人の後ろに立つようなものです。
扇風機は回っていて、風は届くはず
でも、前にいる人が全部風を受け止めてしまう
後ろに立っても、全然風が届かない
ネットワークでも、同じ「IPアドレス」という風を最初に受け取った機器が優先され、
後ろ(あとから出てきた機器)に風は届かない、という感じです。
結果…
・ウェブが開かない
・社内システムに入れない
・メールが送受信できない
という症状になります。
解決策はシンプル
今回の解決方法はとても簡単でした。
・事務所にいるときはVPNをオフにする
・VPNは社外アクセス時のみ使う
・VPN自動接続の設定を見直す(使ったら切断するようにする)
これでお客様は「帰ってきてもネットが快適!」と笑顔に。
「二重帰宅」は無事卒業です。
今回のように“人の習慣”が原因で起こるトラブルもあります。
事務所のWi-Fiにつなぐとインターネットが使えない場合、必ずしも機器や回線の故障とは限りません。
もし似た症状があれば、まずはVPNの利用状況を確認してみましょう。
案外、意外なところに答えが隠れているかもしれません。
そして、事務所に入ったら、もう一度事務所の扉をくぐる必要はありません!
…それは物理的にもネットワーク的にも、です。