PCネットワークサポートブログ
2022.10.24
連載打ち切り
最近までは平穏だったのですが、今月に入り修理案件がドカドカ来るようになりました。大体はパパっと片付けたのですが、何件か手こずった修理がありましたので、そのうちの一つを紹介します。
とある日の昼下がり、お客様からコピー機が不具合を起こしていると連絡が入り訪問しました。
そのお客様のコピー機とは、我がベンハウスに1台しか設置されていない稀なコピー機です。見てみると、タッチパネルが全く反応しませんでした。最近のコピー機は物理キーが無く、スマホの様に画面全体がタッチパネルになっています。そのためこの機械もコピー操作が出来ずにお困りでした。
かく言う私も、この機械の修理は初めましての状態だったので、早々にお困りでした。
とにかく再起動で復旧するかもしれない。この一手に全てを賭けます!電源を切るために、本体前面にある主電源ボタンを長押しすると、ディスプレイ画面には電源を切りますか?『はい』『いいえ』のボタン表示。『はい』のボタンを連打しますが、全く反応しません。
「えっ?もう詰んだ?!」
このままコンセント抜くのはさすがにマズイ気がする。こういう機械モノはシャットダウンの動作をさせないと、二次災害を招きかねません。
どっかに隠し電源的なモノは無いか捜索します。
すると、コンセントの付け根の所に怪しげなスイッチを発見しました。
ビンゴです!これを触ると、プツンと電源が切れたのです!でもこれって、結局コンセントを抜いたのと同じ事だよな?でもしょーがないよね!だって操作部が効かないんだもの!これで壊れても私のせいじゃないよね?他に方法が無いからさぁ!
そう自分に言い聞かせ、再度電源を投入しました。
「普通に立ち上がれよ~、頼むよ~。」
少しドキドキしながら立ち上がりを待ちます。さすがSSD内蔵のコピー機です。すぐに立ち上がりました。
ふぅ~ッ!とりあえずは二次災害は免れました。あとは操作部が反応すれば私の勝ちです。
しかし、画面のあちこちを触りましたが全く反応しません。ダメか~!!とすぐにピンチモード到来。あと出来る事と言えば操作部と本体を繋ぐコネクターの抜き差しくらいです。
「操作部の付け根辺りのカバーを外せばコネクターが見えるかな?とりあえずカバー外すか。」と、思いましたがカバーの外し方すら知りません。適当に小さなマイナスドライバーを隙間にねじ込んでグリグリしますが、中々外れません。カバーが割れそうな勢いなので怖くて中断します。
「仕方ねーな、おとなしくマニュアルを拝見しようかな。」念のために持ってきたパソコンが役立ちます。しかし、メーカーのサイトでどこを確認しても操作部の外し方が記載されていません。
「嘘でしょ?そんなことってある!?」
ブツブツ文句をいいながら、雰囲気だけで作業を開始します。
「カバーはビスで止まっているのかな?」
操作部付近のビスを全部外してもカバーは外れません。
「やっぱりツメで止まっているだけなのか?」
再度マイナスドライバーでグリグリしますが、中々外れません。作業が進まず苛立ちます。
「もう割れても知らねーよ!オラァ!!」
力任せにねじ込んだおかげでパリパリパリとカバーが外れました。良かった、カバーも割れていません。
その後も苦戦しつつ辺りのカバー類を取り外していくと、操作部の金具のフレームが見えてきました。よし、このコネクターを抜き差しすればッ・・・!!
狭い隙間に指を入れてコネクターを引き抜きます。引っこ抜けた反動で金具に指を殴打し流血。
悶絶しましたが、これくらいで挫けてはいけません。ゴールはすぐそこです!カバーを戻して、電源を投入します。
しかし努力もむなしくタッチパネルは反応しませんでした。
「負傷までして頑張ったのに・・・」
もうお手上げです。メーカーのサポートセンターに助けを求めます。
電話が繋がると、操作部のタッチパネルが反応しない旨を伝えました。
メーカー「そうですね、主電源の再起動をしてみて下さい。」
私「やりましたが変わりませんでした。」
メーカー「う~ん、あとは操作部の交換ですかね?」
・・・え?早くない?!それは最後の手段であって、他にやってみる事あるんじゃないの?私より引き出し少なくね?!とは思いましたが、メーカー様が言うなら仕方ありません。その場でパーツの発注を行い、後日再訪問する事にしました。
そそくさと車に戻りエンジンをかけようとした瞬間、なんだか神がかり的なアレが降りてきて、パッとひらめきました。
「ファームウェアの入れ直しをしたらいけるかも?」
最後の悪あがきです。そのまま車内でメーカーのサイトからファームウェアをダウンロードして、2回戦目に突入です。
現場に戻り操作部を触りましたが、やっぱり反応しません。出来立てホヤホヤのファームウェアをコピー機にブッ込みます!
ファームウェアのインストールが完了して、正常に立ち上がりました。なんと画面の右側1/3程復活しています!この範囲が反応してくれれば、サービスマンが色々調整できる特殊モードに入れて、タッチパネルのキャリブレーションが可能になります。
「キタキタキターーー!やっぱり私ってば凄くない?!」
さっそくキャリブレーションをかけると、更に復活!画面のほとんどが反応するようになりました。よしよしよ~し!!まさかの展開に興奮してきました。図に乗ってもう一度キャリブレーションをかけてみます。もう普通に反応するようになりましたが、若干操作の反応が遅い気がします。最後にダメ押しのキャリブレーション!これで奇跡の完全復活を遂げました。
「ッしゃーー!見たかゴルァッ!メーカーに勝ったぞーー!」鼻息ふがふがしながら、どや顔でお客様に報告しました。
ちょっと何を食べたか今は思い出せないけど、この日の晩飯はサイコーに美味かったです。
パーツは発注しちゃったけど、まぁいいか?と思っていると、翌日ソッコーで再発したとの事。
幸いパーツもすぐに届いたので、その日のうちに再訪問です。しかも今度は、ちゃんと操作部の取り外し方が記載されているマニュアルも装備しています。これさえあればすでに修理は完了している。と言っても過言ではありません。
しかしこの後も、このマニュアルによって一悶着ありましたが、この時はまだ知るよしもありませんでした。車を降りて、深く息を吸い込み、大きく吐き出します。西日が眩しく目を細め、右手に工具カバン、左手にパーツとマニュアルを抱え
「・・・よしっ!行くか!」
夕日を背に現場を目指して力強く歩きだします。
長い間ご愛読、ありがとうございました。
19先生の次回作にご期待ください。