PCネットワークサポートブログ

2023.09.07

よく勘違いされるけどフィッシングってPhishing(詐欺)であって魚釣りではないんですよね

件名:テーマ: 商業オファー。

こんなメールが届いていました。私の会社メールアドレスに。
全文は右の画像で。(一部加工しています)
因みに送信元は某自動車メーカーの開発部門の今まで一ミリも絡んだことが無い個人のアドレスです。

おお、ついに私にも個別に商業オファーが来る時代になったのかと心躍った瞬間です。
すわヘッドハンティングか?!
ワクワクしながら本文を読みます。

こんにちは、お世話になっております。

遺憾ながら、残念なお知らせがあります。
数ヶ月前から、貴方がインターネットをブラウズする際に利用しているデバイスにアクセスしており、それ以降、貴方のインターネット行動を監視しております。

のっけから不穏ですね。私の端末が不正アクセスされていたようです。
UTMもセキュリティソフトも入っているのに、くぐり抜けられたようです。恐ろしいですね。
続きを読んでみましょう。

アダルトサイトへの定期的な訪問に関して、責任があるのは貴方の方だと私は確信しております。
と言うのも、単純に申し上げますと、訪問されたサイトが貴方のデータを私に送信していたのです。

仕事中に何してんだコイツ。あ、私か!

UTMで変なデータアップロードは全部止めているはずですし、そもそもその手のサイトはブロックされる設定になっているはず……ですが、私も技術者の端くれ。回避方法ぐらいは知っていますよ。なら仕方ないね。

ウイルス対策ソフトでは検出不可能にする為、1日に数回署名を更新するトロイの木馬をドライバーベースでアップロードしました。それにより、私は貴方のカメラやマイクにもアクセスができます。
また、写真、ソーシャルメディア、チャット、連絡先を含む貴方のデータのバックアップも用意済みです。

何てことだ!再度言いますが、ダウンロードされるデータはすべてウィルスチェックされており、アップロードされるデータも監視されているはずなのに、これをくぐり抜けた上に、私のPCのカメラやマイクを乗っ取っていたそうです!このPCカメラもマイクもついてないけど……。
しかも密かにパーソナルデータを抜かれているみたいです。これは大変だ。

つい最近になって、動画を1つのスクリーンで再生しながら、別のスクリーンでは貴方が●●する瞬間をとらえた動画を並べたビデオを作成するという素晴らしいアイディアを思いつきました。楽しいビデオが出来上がりましたよ!

数回クリックするだけでとても簡単に、このビデオを貴方の連絡先全員に送信できることはもうお分かりでしょう。私が想像するに、貴方はこの状況を回避したいと思っているのではないでしょうか。

繰り返しますが日中の会社で何やってるんでしょうねコイツ。あ、私か。……そろそろ飽きてきた。
って、それどころじゃない!こんなものが拡散されたら大変だ!どうすれば良いんだ?!

それならば、ご提案があります。
1550 USD相当の金額を私のBitcoin ウォレットへと送金していただけると、私は全てのことを忘れることにします。さらに、全てのデータやビデオを永久的に削除しましょう。

私からすると、この金額は私の仕事ぶりにはやや控えめの金額です。
GoogleやBing等の検索エンジンを利用すればBitcoinの購入方法は調べられますし、それ程難しいことではないとすぐにお分かりになるでしょう。

私のBitcoinウォレット (BTC): ●●●●●●●●●●●●●●●●

48時間以内にご返答をお願いします。また、下記のことを念頭に置いておいてください。

私に返信しても意味はありません – アドレスは自動的に生成されています。
不平を言っても意味はありません。なぜなら、私のBitcoinウォレットと一緒にこの手紙を追跡することは不可能だからです。

全ては正確に調整されています。

この手紙について誰かに話したことを私が感知すると、ビデオはすぐに共有され、貴方のお知り合いが最初にビデオを見ることになるでしょう。
その上、ビデオはウェブ上にも投稿されます!

追記
この手紙を開封した時点で時間は数えられます。(このプログラムにはタイマーが組み込まれています。)

ご幸運を祈ります!今回はただ不運なだけだったので、次回はもっと気をつけてくださいね。

なんだ、ビットコインで支払えば良いのか!! ってなるかーーー!!

まあ、要するにこう言うことですね。個人的には笑えるので大好きですが、この手のメールを真面目に読むのすら馬鹿らしいです。
それにしても1550USDとは結構絶妙な数字ですね。(記事作成時で日本円で23万円程です)。かなり痛いけど払えなくはない……。
タイマーで監視していますよとありますが、多分期限は宇宙終了ぐらいまであるので慌てる必要もありません。

今回はすごくわかりやすい詐欺の一例でしたが、これが金銭(例えばカードが不正使用されています)とかだとすると、結構慌ててメール本文のURLをクリックしてしまい、結果詐欺に引っかかるようなこともあります。

カードの不正利用などと言われた場合にも、冷静にそのカードにメールアドレスが紐づいているのか等を確認し、必要であればカード会社に直接連絡して確認してください。

因みに全く同じ文面で違うアドレスから2通同時に届きました。あ、乗っ取られてるわこれ。

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