PCネットワークサポートブログ
2023.11.21
謎の侵入者
先日、お客様から複合機でFAXの送受信ができないと連絡がありました。
訪問してみると、FAXが待機中で止まっていました。主電源の再起動をかけてみたり、設定を色々いじってみても変わりません。
切り分けの為に、複合機に差し込まれているFAX線を電話機に接続してみます。
通常なら受話器を上げるとツーーっと鳴るのですが、この時は無音で反応していません。
こうなれば複合機より上位の通信機器の故障、もしくはFAX線が家具やコピー機のキャスターで潰されたり、劣化して断線している可能性があります。
まずはFAX線の目視をしようと、垂れ下がっているケーブルを手繰り寄せます。すると途中でケーブルが切断されていました。
しかも一カ所だけではなく、数カ所引きちぎられて線が散らばっていました。
奇妙な現象です。
お客様に現物を見せて説明すると、この季節になるとネズミが事務所内に侵入して、事務所の備品を食いちぎる被害があるとの事。
十中八九ネズミの仕業だろうとの事でした。
寒くなり始めると温かい場所を求めて、ネズミが発生するらしいです。
しかも何でもかじってしまうので、お店の商品なども被害が出てしまうんだとか。
まったく困った侵入者です。
侵入者で思い出したのですが、先日私の自宅にも謎の侵入者が現れました。
その日は持病の蓄膿症で、ひどく顔面が痛かったのを覚えています。
左の脳と左の眼球、左頬が鈍器のような物で殴られた感覚。そして左の歯全部が虫歯の様に激痛が走っていました。
そんな危篤状態だったので、定時で仕事を切り上げ颯爽と肩で風を切りながら帰宅しました。
家に着く頃には日は落ちて辺りは真っ暗。家に明かりはついておらず、おそらく家族は誰も帰っていないようでした。
最近は夜が早くなり、月明かりが辺りを煌々と照らしています。
虫の音も聞こえて秋が深まったのを感じます。
しかし、相変わらず顔面に激痛が走っていました。
1秒でも早くロキソニンを摂取しなければ、痛みに耐えかねて狂った私が左側の歯を全部引っこ抜く恐れがあります。
優雅に秋を満喫している場合ではないと、急いで玄関のカギを開けて家に入りました。
家に入って気づいたのですが、リビングの奥の方で電灯が一カ所ついています。
恐らく洗面所の照明。真っ暗な家の中にオレンジ色の光が漏れて、洗面所の横のキッチンにまで光が届いています。
朝は家族で一番最後に家を出るのが私。
電気の消し忘れ?朝からつきっぱなしだったのかな? と動きを止めてキッチンを眺めながら考えていると、キッチンに漏れている明かりの一部が暗くなりました。
目が暗さに慣れずにモヤモヤしているのか?と思い、目をパチクリして黒いモヤをジッと見つめます。
明らかに黒い何かがそこにいました。よくみると頭部・首・肩と人の形をしています。
しばらくするとその影はスーっと、洗面所へ入っていきました。
私は全身の毛が逆立ち、鼓動が早くなります。
……誰かいる!! 泥棒?! でも光の角度的にキッチンに影だけ映るってあるのか?? もしかして霊的な何か!?
霊ならまだしも、知らない人間だった場合が一番嫌だな。
生物かどうかわかりませんが、おそらくそいつも私が来たことにビビッて洗面所へ逃げたに違いありません。
『相手がビビっているなら強気で行けば勝ち!』と先祖代々受け継がれてきた私の血がたぎります。
壁をバンバン叩き威嚇。「おい! 誰かおまえ!! 出てこいゴルァ!!」と勇みます。
するとバタン!ガタッ!と洗面所の収納棚の扉が閉まり、何かにつまずいたであろう音が聞こえました。
(うひっ! やぱっり誰かいる!!)
しばらく動けない硬直時間が流れます。
私は5分程リビングからキッチンを睨みつけ、息を殺し身を潜めていました。
家族の誰かのイタズラ??鍵は開けて入ったよな。戸締りはされているし。あれこれ考えても答えは出ません。
あまりの緊張で忘れていましたが、時間が流れるにつれ緊張の糸がほぐれてきた私は、ある事に気が付きます。
それは顔面が痛い事。
一度思い出したら、ズキズキと強烈な痛みが走ります。
う~ん、やばいぜぇ、薬箱は洗面所の収納棚にある。しかしそこには何かいる。
しかし痛みが恐怖心を超えた時、私の感情はその何かに対しての怒りに変わっていました。
なぜ自分の家でビクビクしなくちゃあならんのだ! こいつは許さん! 絶対許さん!! 武器を手に取り戦う事を決めました。
ちょうどいい武器が下に落ちていました。ウォーリーを探せを手に取りました。
角で叩けばいけるか。でかいから盾にもなるし、投げればブーメランにもなる! 伝説の最強の武器でした。
怒りに震える私は意を決して洗面所へ向かいます。
バッと洗面所へ入りますが誰も居ません。収納棚を勢いよく開けましたが誰も居ません。
浴室、トイレにも誰も居ません。念のため各部屋とクローゼットも全て確認しましたが家には私一人でした。
一気に疲れが押し寄せます。
これで安心して薬が飲める!痛みともおさらばだ!と薬箱からロキソニンの箱を取り出しましたが、中身は空っぽ。
私は泣きました。